スクライド

2001年、誰もが目にしたことのないアニメが生まれました。その名は「スクライド(S.cry.ed)」。超常の力を生まれながらにして持つ者たちの壮烈な生き様を描いたスクライドは、瞬く間にその名を知らしめウェブ上に熱烈なファン『スクライダー』を生み出しました。そんなスクライドの魅力を解説します。

スクライドとは

スクライドは、2001年にテレビ東京系列で放映されていたアニメです。「無限のリヴァイアス」で、その名を知らしめた谷口悟朗監督を中心に、再び「リヴァイアス」のスタッフを集めて製作されました。放映と同時に「週刊少年チャンピオン」で漫画版を連載開始し、その重厚で熱い内容は熱狂を持って迎え入れられました。

スクライドの背景とは

スクライドは近未来の日本を舞台にしています。「バイオレンスジャック」や「魔界都市新宿」のように、大規模の隆起現象で外界から隔絶してしまった横浜方面が「ロストグラウンド」と呼ばれています。このロストグラウンドに生まれた新生児の中から、常人が持ち得ない力「アルター」を宿した者が現れたことで状況は大きく変わります。復興を遂げた都市部「インナー」と復興が進まないまま居住者が増えた外部区域の対立の中、外部区域のアルター能力者「ネイティブアルター」を取り締まるアルター能力者の警察機構「HOLY」が結成されたのです。この外部区域とインナーの対立、HOLYとネイティブアルターの対立、そしてロストグラウンドと「本土」の対立が絡み合っていくのが「スクライド」の背景となっています。

スクライドの要「アルター」とは

スクライドにおけるキーワードの一つ「アルター(Alter)」は「進化(Alteration)」から取られた言葉です。アルター能力は、発動すると周囲の物質を分解し再構成して具現化します。発動したアルター能力は、肉体の一部を変化させる「融合装着型」と能力者によって操作できる独立した存在として具現する「自立稼動型」に分類されています。アルターは究極的に全て全身融合装着型に行き着くことがわかっています。また、アルター能力をもたらしたのはロストグラウンドを生み出した『向こう側の世界』との接触によるものです。アルター能力は、この『向こう側の世界』に存在する生命体であるといわれています。

アニメ版「スクライド」と漫画版「スクライド」の違いとは

基本背景は前述の通りですが、実はアニメ版と漫画版には大きな違いが存在しています。
漫画版「スクライド」は脚本担当の黒田洋介氏曰く「普通なら使わないおバカなシチュエーションを採用していった」というだけあってありえない台詞や展開が山盛りになっています。前述のスクライダーはこの漫画版に魅了された人々が大半を占めているといわれています。また、展開自体もアニメ版とはかけ離れているのも漫画版の特徴です。

スクライドの登場人物

スクライドはダブル主人公制を取っています。立場の違う二人、されど似たもの同士の二人を対比させ、一つの目的に立ち向かわせることで、ストーリーに重厚さを出しているのです。もちろん、漫画版スクライドは設定自体も大幅に違うことがあります。

シェルブリッドのカズマ(声優:保志総一郎)

「スクライド」の主人公の一人であるネイティブアルターの少年です。基本的にダメ人間ですが、『目の前の壁は拳で砕いて進む』強さを持っています。アルターは融合装着型の「シェルブリッド(漫画版ではハイブリッドに進化)」で、後に『向こう側の世界』の扉を開くほどの力を手に入れます。

絶影を持つ劉鳳(声優:緑川光)

もう一人の「スクライド」の主人公で、HOLYに所属する青年です。ロストグラウンドの実力者である劉家の御曹司ですが、母親を「謎のネイティブアルター」によって失ったことで「絶対正義」に拘っています。『目の前の壁は切り開いて進む』性格で、アルターは自立稼動型の「絶影」です。カズマと幾度と無く戦い合いました。

由詫かなみ(声優:田村ゆかり)

カズマと共に暮らす7歳の少女です。普段のカズマの甲斐性なしの反動からか、こまめに甲斐甲斐しく働いています。実はアルター能力者で夢の中で他人の深層心理にアクセスする「ハート・トゥ・ハート」を持っています。

シェリス・アジャーニ(声優:倉田雅世)

劉鳳の同僚のHOLY女性隊員で劉鳳に思いを寄せています。昔、劉鳳に救われたことがあり劉鳳のために献身的に動く女性です。アルター能力は「エターナル・デボーデ(永遠の献身)」で、命を掛けて対象者を癒すことが出来ます。

桐生水守(声優:永島由子)

劉鳳の幼馴染の科学者で、HOLYの上部組織HOLDのスポンサーである桐生家の令嬢でもあります。劉鳳との再会のためにHOLDに出向してきました。ロストグラウンドを取り巻く真実を知るために、現実に立ち向かう芯の強い女性でもあります。

君島邦彦(声優:山崎たくみ)

カズマの悪友で、アルター能力を活かした「仕事」をたびたび持ち込んできます。しかし仕事のたびに車が壊れることもしばしばです。「意地があるんだよ、男の子には!」と、カズマの危機に身体を張って駆けつけた時の傷が元になり…。

ストレイト・クーガー(声優:津久井教生)

カズマの兄貴分のネイティブアルターで現在はHOLYに所属しています。性格は拙速を通り越した最速至上主義者で、スクライドの名物とも言える早口喋りをし、カズマを「カズヤ」、水守を「みのり」と間違えることがほとんどです。アルター能力は「ラディカル・グッド・スピード」で車を変形させ高速形態に変えること、全身融合装着した戦闘形態に変身することが出来ます。

マーティン・ジグマール(声優:高田祐司)

HOLY隊長で、全ての真実を知る男です。また、ロストグラウンドで最初に確認されたアルター能力者でもあります。アルター能力は融合装着型と自立稼動型が同時に具現化される「エイリアス」で、圧力を操作する能力を持つ強力無比なアルターですが使うたびに老化が進行するという弱点を持っています。

アルター結晶体

劉鳳が母の仇と狙う「謎のネイティブアルター」で、その正体は『向こう側の世界』からこちら側に迷い込んだ純粋なアルターの結晶体です。カズマはこの結晶体の肋骨を奪い取り、シェルブリッドを強化しています。「スクライド」におけるキーパーソンの一人です。

無常矜持(声優:白鳥哲)

本土から送り込まれたアルター能力者で、劉家によって没落した勢力の出身です。その為、力に飢え権力を渇望し、本土でアルター能力を強化する『精製』処置を受けています。アルター能力は全てのアルター能力を吸収する「アブソープション」で、アルター結晶体をも吸収しカズマと劉鳳の前に立ちふさがります。

T・T(声優:小野坂昌也)

漫画版に登場するスーパーHOLY隊員の一人です。アルター能力は「知識万歳(ビバ・ノウレッジ)」ですが、劉鳳に「ビバはイタリア語でノウレッジは英語だ!」と一蹴されました。

真マーティン・ジグマール

漫画版ジグマールの真の姿です。威厳を取り繕うために変化させていた顔をかなぐり捨て、『設定年齢19歳・蟹座のB型』で「美形だッ!!」な姿を持っています。「人間ワープ」と光線銃による「とどめのジョン・ウーアタック」を駆使してカズマと劉鳳を苦しめました。

ギャラン=ドゥ

漫画版のラスボスで、ジグマールのアルターです。敗北したジグマールを「人間がアルターに頼るなッ!」と一蹴し、アルターによる世界征服を行うために作らせていたタイムマシンで「カッコイイだろう!?」とカズマたちを倒そうとするのですが、超古代にカズマと共に吹き飛ばされ「効いてないのォ!?」「その痛みに反逆する」で倒されてしまいました。

羽海野チカ(うみの・せんりき)

漫画版「スクライド・ビギンズ」に登場したクローバーなHOLY隊員です。本土からロストグラウンド視察に訪れた森恒二議員の護衛を勤めていましたが、カズマを排除すべくアルター能力「ユースフル・ワールド」で立ち塞がりました。
ダース
HOLYの一般隊員です。しかし、その正体はHOLYによって捉えられたネイティブアルターを洗脳して、アルター能力を統一されたものでした。

ナレーション(声優:若本規夫)

スクライド陰の主役です。次回予告で深みのある声で散文詩のような予告ナレーションをするのですが、数々の名キャラクターに負けず劣らずの存在感を示しています。

スクライドの魅力とは

放送終了後も尚、スクライド人気が低下しないのは「一切妥協しない姿勢」にあるといわれています。ターゲット層を10代男性に絞り込み、「仕事をする前に見てもらいたい」という製作側の構想を元に、「目の前に高い壁が立ちふさがったらどうする?」というスクライドにおける一つのテーマを設定し、「砕いて進む」カズマ、「切り開いて進む」劉鳳というキャラクターを生み出したことこそがスクライドの魅力を支えているのです。

スクライドの魅力は人物の魅力

そんなカズマに、劉鳳に影響されるようにして、スクライドの登場人物も視聴者も内面が変化しているのです。諦めや迷いを抱いても、乗り越えなければならない壁はいつかやってくる。その壁に対して「何をするか」「何ができるか」ではなく「とにかくやる」という、姿勢が、スクライドの骨格となっているのです。

スクライドが刻み込んだもの

スクライドにおいて、カズマは「オッケー、刻んだ!」「お前も刻み込め!」と子とある語とに「刻む」という言葉を使います。なぜ「覚える」ではなく「刻む」なのでしょうか。カズマは、いわゆる「馬鹿」です。ただ、頭が悪い「馬鹿」ではなく不器用な生き方をしてしまう「馬鹿」なのです。言い換えるならば「気骨」なのです。どんな苦境でも、どんな逆境でも、「反逆」するもの(トリーズナー)としてカズマが、劉鳳が立ち向かう姿勢こそがスクライドの屋台骨なのです。だからこそ、「スクライド」は今も記憶に刻み込まれているのです。

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