コスプレ

心理学的に、人間の奥底には幾つかの願望があるといわれています。その一つが「変身願望」です。抑圧された願望を満たすことは精神衛生上良いこととされています。『自分ではない、自分以外の存在になりたい』というこの変身願望を満たすことが出来るのがコスプレなのです。

コスプレとは

コスプレは、コスチューム・プレイ(Costume Play)の短縮形で「衣装を着てなりきる」ことを指します。この場合の「Play」はロールプレイング(役割を演じる)と同じ意味で使われるプレイなので間違えないようにしてください。外国では主に「マスカレード(仮装行列)」などが長らく使われてきましたが、近年のジャパニメーションブームで「Cosplay」という表現が輸入され定着しているようです。コスプレをする人のことを「コスプレイヤー」といいます。

日本におけるコスプレの始まり

日本においてのコスプレは、戦国時代にその原点を見ることが出来るといわれています。その頃、武士の中に「傾奇者(かぶきもの)」と呼ばれる者たちが出現し始めました。傾奇者たちは、「色とりどりで派手な出で立ちをした異形の者」とされています。傾奇者とは、「武士の一人として抑圧されている自分ではない、誰もが振り返らざる者になりたい」という変身願望に根ざした存在だったのです。また、祭りの中には一般民衆が武士や武者の格好をするという催しを開くものもあったといいます。こうして、「抑圧からの開放」というカタルシスを求める者たちによってコスプレの原形が整えられていったのです。

コスプレ文化の定着へ

そして、昭和も半ばを過ぎた頃にはハロウィンが輸入されテレビ番組においても仮装を主体とした参加型番組が生まれるなど、徐々に「仮装」という概念が定着していきます。その過程の中で、「コスプレ」という行為があることを知らしめたのが「スター・ウォーズ」と「機動戦士ガンダム」だったのです。「スター・ウォーズ」は公開第一作目となる「エピソード4 新たなる希望」の試写会においてSFファンなどがそれぞれにコスプレをして会場に駆けつけた最初の映画だったのです。紙で作ったストームトルーパーや、輸入したマスクと黒い布で作ったダース・ベイダーや柔道着の上とジーンズを着込んだルーク・スカイウォーカー、なぜか居た大魔神とバラエティにとんだメンバーが新しい時代の到来を祝ったのです。「機動戦士ガンダム」では原宿で「竹の子族」ならぬ「トミノコ族(監督の富野由悠季に由来)」が現れたと、話題をさらいました。この二つの出来事が全国にコスプレの存在を喧伝したのです。

コスプレの一般化

コスプレが一般的になったのは、1995年からの「新世紀エヴァンゲリオン」ブームがきっかけと言われています。ブームが一般層にまで浸透したことでアニメ・漫画・ゲームの市場が急速に拡大し、コミケやコスプレといったディープなイベントまでもがその存在を肯定され、拡散していったのです。当時人気のあったダンパ(ダンスパーティ)とコスプレを融合させた「コスパ」や、コスプレ衣装屋が増加したのもこの時期です。90年代後半から、コスプレは一般層にも認知されたファン活動として知られていくことになったのです。

「コスプレ」の世界進出

コスプレが日本で一般的に認知されるようになった頃、世界に日本のアニメや漫画が広まっていきました。「日本のアニメはカッコイイ」という共通認識が生まれ、日本のアニメ・漫画文化の最先端である「コスプレ」をしようという動きに繋がっていったのです。その動きはついに外務省を動かし、コスプレの聖地・日本での「世界コスプレサミット」の開催に行き着いたのです。アニメや漫画といったサブカルチャーは日本で大きく発展し、日本を背負って立つコンテンツへと成長したことを証明する大きな第一歩といえるでしょう。

コスプレの種類

コスプレには幾つかの種類があります。コスチュームの元ネタとなる漫画・実写・アニメ・ゲーム・小説といったジャンル分けだけでなく、さらに細分化できるのです。

女装・男装

変身願望の中には、異性への変身願望があります。ただしそれは、ジェンダーが絡む重大な意味合いではなく、抑圧からの開放としての手段としての願望なのです。コスプレにおいても、異性への変身は重要なファクターとして認知されています。女性の場合は綺麗な男装が出来上がるのですが、男性の場合は髭などの体毛の処理やメイクによる毛穴埋めなどの多大な努力を強いられることになります。

甲冑系

特撮ヒーローやファンタジー作品のコスプレの場合、鎧や強化服を身に着けたキャラクターが多くなります。その為、布以外の素材で衣装を作る必要が出てきます。鎧や強化服を「甲冑」と呼んでいます。

ロボット系

ガンダムやマジンガー、ゲッターといった有名なロボットアニメの場合キャラクターだけでなくロボットそのものになりたいと思う人も居ます。ロボットの外装を衣装として作り上げるのがこのロボット系です。中にはダンボールに「GUNDAM」とマジックで走り書きしたものを身に付けてガンダムになる人も居ます。

着ぐるみ系

いわゆる「中の人などいない!」というコスプレです。大きな頭部を模した被り物と衣装の組合せや、ぬいぐるみを着込むものなど様々です。

オリジナル系

原作となる作品の背景を持たないコスプレです。オリジナルデザインのメイド服や巫女服といった、萌えの記号となっている種類のコスチュームに見受けられます。

コスプレ衣装のあれこれ

では、コスプレを体験してみるとしたらどのようにして衣装を揃えればよいのでしょうか。

市販品を購入する

もっとも確実にかつ簡単に衣装を揃える方法です。市販されているコスプレ衣装は通常の衣服の作り方に則っているので、洗濯にも耐え何度でも着ることが出来ます。また、サイズもSからXLまで揃っているものも多いので最大公約数向けの衣装といえます。

既製品を改造する

学校で習った程度の裁縫技術があるのならば作りたい衣装に似ている既製品を買ってきて、布を当てたり切ったりして形を近づけていく方法があります。黒のロングコートや学生服など良く使われる服装は衣装として改造されることも多いです。

業者に発注する

市販のコスプレ衣装を売っている業者の中には、衣装のオーダーに応じてくれる所もあります。ただ、価格が市販品よりも高くついてしまいますがそれでも衣服としてしっかりした作りにして貰えます。

自分で作る

作りたい衣装に似た型紙や資料などを用意して、自分で衣装を作ってしまう人も多く居ます。物によっては安上がりに済みますし、細かい所までこだわることができます。甲冑系コスプレイヤーの中にはダンボールなどの紙素材やウレタン素材で形状を作り、ラリッさ合皮を張って金属の質感を出した衣装を作る人も居ます。

コスプレをする時・見る時の心構え

コスプレは市民権を得たジャンルとは言うものの、未だマナーを守らない一部のコスプレイヤーのために肩身の狭い思いをしている人も居ます。そおこで、正しいコスプレのマナーを紹介します。

会場に入る前から衣装を着て来ない

イベントなどのルールで取り決められている約束です。ただでさえ入場前に行列が出来ることが多いにもかかわらず「目立ちたいから」という理由で会場外から着てくるとコスプレイヤー全体が偏見に晒されることになるのです。

写真は許可を得てから

また、通りすがりに写真を撮っていく人も見受けられますがこれもマナー違反です。写真を撮るときは相手に許可を得てからです。それはコスプレでも当然のことです。

コスプレ衣装のまま会場外に出ない

「近所のコンビニへの買い物だから」と、着替えないまま出掛ける人を見かけることがあります。これもマナー違反なので注意しましょう。

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