キテレツ大百科

「ドラえもん」「パーマン」「エスパー魔美」などの作品で知られる藤子・F・不二雄先生の作品の中で、ドラえもんに次ぐ知名度と人気を誇っているのが「キテレツ大百科」です。ドラえもんの亜流的なポジションの物語構造を持ちながら、ドラえもんとは一線を画すストーリーを持ったキテレツ大百科は現在でも高い評価を得ています。

キテレツ大百科とは

「キテレツ大百科」は1974年から1977年に渡って旧農協系の出版社である家の光協会から出版されていた雑誌「こどもの光」で連載されていた漫画です。現在は藤子作品の大半を扱う小学館から単行本などが出版されています。「ドラえもん」は幅広い層からの支持を受けているのに対し、「キテレツ大百科」は連載元の雑誌の性質もあってか藤子F先生の作品としては大人しい作風に仕上がっていることなどもあって、アニメで育った世代からの支持が強い作品であると言えます。

キテレツ大百科の重要アイテム「奇天烈大百科」とは

キテレツ大百科において、重要な役割を果たすのが「奇天烈大百科」です。「奇天烈大百科」は主人公のキテレツこと木手英一の先祖・キテレツ斎が残した、超発明の数々が収録された全四冊の手綴じ本で、特殊なインクで内容が書き込まれているのです。「奇天烈大百科」と共に伝えられたメガネ「神通鏡」を通さないと内容がわからないためキテレツ以外にはその価値が判らないままでした。

キテレツとのび太の違いとは

主人公であるキテレツは、「ドラえもん」の主人公であるのび太を比較・同列におかれることの多いキャラクターです。しかし、キテレツはのび太よりも勉強が出来て発明が趣味という方向性の違いが第一話目から際立たされていました。しかし、のび太が昼寝やあやとりに夢中になりすぎて成績が悪いように、キテレツの場合は発明に夢中になりすぎて約束や時間を忘れてしまったり、発明に関係ない運動神経がよくなかったりと細部はともかく大枠で同じような性質を持っているキャラクターであることがわかります。

キテレツ大百科とドラえもんの違い

「キテレツ大百科」と「ドラえもん」は、物語を構成する要素の中に「現代の科学を大きく超越する道具」が存在していることから、同じ扱いを受けることが往々にしてあります。しかし、「ドラえもん」の場合はのび太がドラえもんに道具を出してもらうのに対し、「キテレツ大百科」はキテレツが必要に応じてもしくは大百科の中から作りたいものを選ぶという形で道具を作り出すところに違いがあります。これは連載誌が違うことが大きな原因であると考えられます。

アニメ「キテレツ大百科」とは

アニメ版キテレツ大百科は、1987年にスペシャル番組として放映され人気を博したことから連続テレビシリーズとして1988年から放送が開始されました。足掛け8年の全331話というエピソードの数は原作を遥かに越えたものとなったため、原作では単行本三巻に未収録エピソード数本の40話前後だったエピソードを、大きく膨らませたアニメオリジナルストーリーをベースにして進行することになりました。アニメオリジナルのエピソードは、基本的に原作を逸脱することが多いのですが、アニメ版キテレツ大百科の場合、原作者である藤子F先生がとても楽しく視聴していたと伝えられていることから、好意的な評価を受けていたようです。

アニメ版キテレツ大百科は原作からどう変化したのか

オリジナルストーリーが物語の大半を占めるアニメ版では、原作とはまったく違う変化を遂げた作品となりました。

キャラクターの追加と変化

まず、第一に挙げられるのがキャラクターの大幅な増量と人物描写の変化です。ドラえもんで言えばジャイアンのようなガキ大将ポジションに居たブタゴリラは、親分肌が更に強くなって初代声優を務めた大竹宏さんのボス(マジンガーZ)のようなキャラクターに変化しています。また、キテレツとみよちゃんがカップルとして位置づけられたことから、ブタゴリラ・トンガリ共にガールフレンドが用意されるなど、前番組であったあだち充の「陽あたり良好!」の影響を受けている面も見受けられます。

日本各地や過去を旅する

アニメ版キテレツ大百科は、「サザエさん」の次に放映される時間帯にあったことも影響しているのか、日本各地になんらかの形で飛び回るエピソードが続出しました。過去への往復時間旅行が可能なタイムマシン「航時機」や二つの地点を結ぶワープゲート「天狗の抜け穴」、潜水艦「亀甲船」といった移動手段を駆使することで、様々な場所や時間に移動して物語を展開させるという手法が盛り込まれたのです。これには藤子F先生の「ドラえもん」や「TPぼん」などの他作品の影響が見て取れます。

設定がストーリー単位で食い違う

これは、致命的とも言えるアニメ版キテレツ大百科の欠点になります。たとえばコロ助はキテレツが最初に作った奇天烈大百科の道具なのですが、アニメ版ではなぜかキテレツ斎様と過ごした記憶を持っている描写が散見されます。そもそもコロ助の部品は現代で調達したもの(頭はゴムまり、身体は洗面器)にもかかわらず、です。このあたりの設定やブタゴリラの実家の八百八の開業についてなども、エピソードごとに食い違いがあるなど、ファンの頭を悩ませることになっています。

原作とアニメに見るキテレツ大百科最終回の違い

そして、原作とアニメ版で最も違うのが最終回です。原作・アニメ版ともに「奇天烈大百科」がアクシデントによって失われてしまうのですが、キテレツの対処が違うのです。原作では紙飛行機にされた大百科のページから新しい道具を作り大百科の行方を追うのですが、アニメでは早々に失われたのでキテレツ斎様に新しい大百科を書き下ろしてもらおうとするのです。しかし、このエピソードにも致命的な欠点があります。アニメ版では『大百科の中身はパソコンに全て移している』のです。せっかくの最終回ならば、この点にも気を使って欲しかったと思います。

アニメ版キテレツ大百科が8年も続いた理由

キテレツ大百科は藤子不二雄作品としては、ドラえもんの27年に次ぐ長さのアニメとして知られています。「忍者ハットリくん」や「パーマン」なども長い部類に入るのですが、キテレツ大百科の8年には及びません。その人気の秘密は昭和の空気を維持し続けたスタッフの努力にあると考えられています。アニメ版キテレツ大百科は1994年ごろに終了という予定だったのですが、後番組の選考が難航した結果2年半もの延長が掛かったようです。終了を決めた理由の一つに制作費の安さがあったと、関わったスタッフの発言にあったことから日本のアニメ製作における歪みが噴出した結果であると見ることが出来ます。

キテレツ大百科を彩った主題歌

アニメ版キテレツ大百科で、最も印象が強いのはやはり主題歌ではないでしょうか。「すごいよ!!マサルさん」でも使われた「お料理行進曲」や「すいみん不足」や「夢見る時間」や「うわさのキッス」などが記憶に残っている人も多いと思います。しかし、やはりアニメ版キテレツ大百科を代表する主題歌は「はじめてのチュウ」ではないでしょうか。SMAPの木村拓哉がカバーしたことでも人気を博し、オープニング主題歌からエンディング主題歌として使われ続けました。「はじめてのチュウ」独特の声は、テープの早回しのような技法を使用しているため、普通に唄っても再現できません。

ゲームになってたよ! キテレツ大百科

そして、アニメ版キテレツ大百科が放映されていた1990年、エポック社からファミコン用ソフトとして発売されました。しかし、こんな格言があることをご存知でしょうか? 「キャラゲーに当たりなし」。すなわち、人気アニメをゲーム化するとどうしても出来が悪くなるのです! 120万本を売り上げた「忍者ハットリくん」はまったく持って希有な例に過ぎません。キテレツ大百科は紛う事なきクソゲーだったのです。

苦行のKはキテレツ大百科のK

まず、このゲームにおいて最大の難点は「当たり判定のあるオプション」です。オプションというのは、自機の周りを周遊して敵に攻撃を加えてくれるありがたい仲間です。しかし、このゲームではダメージを喰らうだけの邪魔者なのです。喰らったダメージは自機であるキテレツのライフから削られます。また、ステージ中には奇天烈大百科が置いてあり、集めたコインで発明を作ることが出来ますが、連打回数と発明レベルが高ければ規定数よりも少ないコインで発明できるという独自のシステムが備わっています。が、一番最初に作る発明は中断用パスワードを聞いたり、ライフを借りることが出来る素晴らしいサポートマシン、その名も『キテレツ地獄』!! ……ダメだこりゃ。とにかく、ライフをやりくりして、チョロチョロ動いてライフを減らすコロ助たちを操り、キテレツ斎様からもらった勇気でラスボスを倒せば終了です。おめでとう!

キテレツ大百科は、そして伝説へ

そんなこんなで、ファミコン版キテレツ大百科は「キャラゲーに当たりなし」を実証するゲームとして認知されて今に至ります。どんなものかが気になっても購入しない方がお金と時間を大事に出来ると思います。

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